ロング・グッドバイ ハードボイルド文学の頂点 読書メモ


    今年の 5 冊目。レイモンド・チャンドラー 著、村上 春樹訳「ロング・グッドバイ」読了。

    「老人と海」を読んだ後、つぎにどんな作品を読もうかかなり悩んだ。いや、「ロング・グッドバイ」を読むことは決めていた。けれど清水俊二訳にするのか、村上春樹訳にするのかで悩んでいたのだ。
    昔ならなにも悩まず村上春樹訳を選んだだろう。しかし、原作の文体を感じ取るためにはどうかと考えるとやはり悩んでしまうのだ。
    理由は改めてここに描くまでもないと思う。まぁ、そういうことだ。両方を読み比べればいいんだろうが、そうもいかない。いや、違うな。根本的な話をすれば原書で読めばいいのだ。
    しかし、ぼくの幼児レベルの英語力ではそれは望むべくもない。

    さて、ストーリーについては、ネタバレにもなってしまうので語る必要はないだろう。一見、関係のなさそうな事件が裏で繋がっていて、それを主人公のフィリップ・マーロウがさまざまな妨害にもかかわらず、縺れた糸を解くように解決するという話だ。
    一人称での語り。感傷的とも叙情的ともいえる表現。そして細かな人物表現。ときにはそこまで語るかと思うほどの長台詞。そのすべてがこのハードボイルドの代表作ともいえる「ロング・グッドバイ」の世界観でもある。
    だからこそ、日本語版で読む場合にはやはりだれが訳すのかということが大いに関係してくるわけだ。ということでちょっとだけ後悔している。

    チャンドラーの作品については、もっと読みたくなったことは事実だ。彼の作家としての魅力をぼくなりにきちんと掬いとりたいと思っている。
    しかし、あちこちに散りばめられている決め台詞はいいよねぇ。「ギムレットには早すぎる」とか、「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」なんてね。こういう台詞はぐっと来ちゃうんだよな。

    さて、これは作品とは直接関係が申し訳ないんだが、いや、この作品の魅力はぼくの語りではなく、実際に読んでもらえばすぐに解ることなので読んでもらいたい。マーロウというと、どうしてもビーカープリンで有名な「マーロウ」をイメージしてしまう。ロゴマークにもなっている、煙草をくわえたモノトーンの顔が頭に浮かんでくる。

    煙草に帽子、そしてネクタイにコート。これがマーロウのイメージだ。
    もちろん「ロング・グッドバイ」を読み終えても、やはりフィリップ・マーロウはぼくの中ではモノトーンの影絵のような存在であり続けることになる。
    長い一冊だけどハードボイルドってなんなのかを知るには最適な一冊だといえる。


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