経済で読み解く日本史 3 江戸時代 越後屋、おぬしも悪よのう 読書メモ


    今年の 7 冊目。上念 司 著「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」読了。

    ようやくだけど読書の時間をきちんと取ることができるようになり、いいペースで読めるようになってきた。室町・戦国時代からスタートしたこのシリーズも江戸時代になった。
    このシリーズでいえることは、いわゆる学校で習う歴史ではその時代をきちんと捉えることができないということだ。だいたい教科書に載っているのは政治的な動きと文化的な動きだけで、それでは時代をきちんと俯瞰して見ることができない。
    この「経済で読み解く日本史 3 江戸時代」ではそれがよく解る。

    冒頭にも書いてあるんだが、ぼくたちの抱いている江戸時代というのは、水戸黄門や暴れん坊将軍なんかの TV ドラマで描かれていたイメージが強いはずだ。絶対権力として幕府があり、一般庶民、この本では百姓と表現されているんだが、虐げられていて、貧しく、その背後で甘い汁を吸う越後屋がいるというのがお約束だ。
    でも、まったく違う。
    というか、それをぼくはこの本を読んではじめて知った。

    井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンでもあるんだが、とても斬新にその時代を解説しているこのシリーズでも経済を背景としてその時代を読むということはやっていない。だからなのか江戸時代が経済的に見たらどういう時代だったのかということについて、ぼくは正確に知らなかったことがよく解った。

    いままでは武士の時代という括りで見ていたんだけど、それだとじつは明治時代との繋がりがはっきりしない。なぜ明治時代に国際社会の一員になれたのかというと、じつはこの江戸時代に世界をリードするような資本主義が発展していたからだったのだ。
    いや〜、江戸の人たちで凄かったんだね。
    もちろん、それを創りあげたのはこの本で書かれている武士以外の「百姓」の人たちだ。じつに伸びやかで、賑やかで、文化的にも華々しい時代を築き上げていたのだ。

    根本的にぼくが理解できていなかったのが、なぜに幕府は財政に苦しんでいたのかということだったんだが、それがこの本で納得できた。簡単にいえばマクロ政策がきちんとできなかったからなのだ。
    それはなにか?
    通貨を自由に発行することができないというところがポイントだ。この時代にはいわゆる金貨・銀貨を幕府が鋳造して流通させるようになっている。しかし、国内の金山と銀山は三代家光の頃には掘り尽くされ、新たに発行できなくなっちゃったのである。

    通貨の流通が市場から減るとデフレになる。
    この時代はさまざまなものの生産性が上がり、ものが溢れるようになる。するとそれに見合った通貨の流通が必要になるんだが、これが制限されちゃっているので、結果として財政が逼迫してしまうのだ。だって幕府の金庫にはお金がないだもんってことだ。

    まぁ、この時代は経済理論なんてこと確立されているわけじゃないんだけど、それでもこの苦難を乗り切った人たちがいる。
    そういう人たちはなにをしたのかというと、通貨の改鋳だ。金や銀の含有量をコントロールして、結果として通貨量を増やすということだ。教科書にはこれは悪策として書かれていたと思うけど、とんでもない。とても有効なマクロ対策だったわけだ。
    今風にいえば通貨発行益・シニョリッジだね。というか、今回、日本がおこなった国債発行による通貨の調達と同じことだ。
    これで乗り切ったの将軍ひとりが暴れん坊将軍だったりする。

    でも哀しいかな、この理論を理解している人たちは少なく、この施政のあとには引き締め政策、いわゆる贅沢禁止令が発せられて、時代はまたデフレに逆戻りするということを繰り返したのがこの江戸時代でもあったわけだ。
    あとは各藩の財政がなにゆえに逼迫して、もう幕末の頃には日本全体財政破綻藩だらけの状態になっていて、それがどうなったのかということについてもきちんと書いてある。

    いや〜、経済という側面で時代を読むと、また新しい姿を見つけることができるということがこれでよく解る。
    さて、つぎは明治時代だね。日本は国際化をどうやって果たしたのか、いまから楽しみだ。
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