経済で読み解く日本史 1 室町・戦国時代 お金で観る歴史 読書メモ


    今年の 5 冊目。上念 司 著「経済で読み解く日本史 1 室町・戦国時代」読了。

    歴史は教科書的に見てもその真実の姿は現れてくるわけではない。さまざまな視点からいろいろな角度で見ていく必要がある。そのためにはいろいろな著者の本を読むというのがひとつの方法だ。
    そういう意味ではこの本はユニークなものといえる。なにしろ著者が経済評論家の上念 司氏だからだ。そう、この本は、というかシリーズ化されているんだが、経済の視点から歴史を読み解いている。そうするといままでとは違った歴史の姿を見ることができる。

    日本で通貨が発行されたのは奈良時代で「富本銭」といわれるものが最初といわれている。ぼくは和同開珎だって習ったんだけど、それよりも古いわけだね。ただ、これが国内で流通したわけではない。
    じつは江戸時代になるまで日本で流通していたのは中国の銅銭なのだ。古くは唐銭・宋銭でそのあとは明銭が日本で流通していた。ではどうやってそれを入手していたのかというと、貿易によってだ。ということは中国との貿易を手中にしていることがポイントになる。

    室町時代で話をすると日明貿易を担っている集団が力を持つことになる。それはだれかというと、じつは宗教団体なのだ。なんてことは教科書には書いていない。鎌倉幕府以降、禅宗がその勢力を拡大したんだが、やはりこれは貿易による莫大な利益がベースになっている。
    なぜこの通貨の話が大切なのかというと、じつは流通する通貨の量を自国でコントロールできない時代だったので、いまでいう直接的な経済対策を打つことができないということになる。この時代は明の隆盛によって国内の経済状況も左右されてしまうことになるのだ。

    足利義満が絶大な権力を誇ったのも、この経済的な事情が大きい。というのは、四代義持は日明貿易を中断してしまい、以降、足利幕府の経済状況はデフレ基調となっていく。そこへ持ってきて、この時代、寒冷期に入っていたようで、不作の年も多く、そういう意味では安定した政権運営が難しいわけだ。
    なんてね、ぼくたちが習ってきた足利幕府は政権の権力が弱くて不安定だったことになっていたんだが、どうもそういうわけではなさそうだ。

    それにしても、この時代の宗教勢力の力は絶大で、壮絶な闘いを宗派間でおこなっている。これはよく勘違いされるのだが、この時代の宗教団体は立派な軍組織でもあったのだ。だから比叡山は何度も焼き討ちにあっているし、織田信長は本願寺との血みどろの闘いをしている。あれは宗教弾圧ではなくて、戦闘行為なんだよ。

    ということで、この時代のそれこそ教科書では教わってこなかった側面を、経済という視点がこの本は書いている。
    読むことで経済の基本的な知識を得ることもできるし、歴史を見直すこともできる、とてもおもしろい本だ。

    ちなみにこれは文庫シリーズ化のために、以前に上念 司氏が書いた「経済で読み解く 織田信長」がベースになっている。その本も以前、ぼくは読んでいて、だからなのかな、その内容をよく理解することができた。

    この作品はここをスタート地点として、時代を追いかけ、最新刊「平成時代」にまでおよんでいる。これは来週、発売される。
    ということで、もし興味があれば、その興味のある時代を読むのもいいかもしれない。
    ぼくはこれから順番に読んでいくけどね。だからつぎは「経済で読み解く日本史 2 安土桃山時代」ということになるね。



One Reply to “経済で読み解く日本史 1 室町・戦国時代 お金で観る歴史 読書メモ”

  1. […]     前回、読了した「経済で読み解く日本史 1 室町・戦国時代」の続きだ。このシリーズを集中して読了する予定でいる。     前回は室町時代から織田信長が […]

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