「コンテイジョン」パンデミックを描いた映画だ。監督はスティーブン・ソダーバーグ。
個人的に監督で映画を選ぶということはあまり意識してないんだけど、ソダーバーグの映画は結構観ていることを改めて知らされた感じ。
オーシャンズのシリーズとかソラリスとかソダーバーグが監督だったんだね。その他にもすごい数の映画を撮ってる。不勉強でした。
さてと「コンテイジョン」だけどパンデミックを描いてはいるんだが、キャストが豪華なわりにはとても淡々とした映画なのだ。
テーマがテーマだし、もっとパニックものとして派手に描くこともできただろうに、まるでドキュメンタリーみたいなタッチなのだ。画調もとても落ち着いたものになっている。
飾りっ気というものがストーリーはもちろんだが意識的に排除されている。
それは単にパニックものとしてこの映画を撮っていないということなんだろう。
感染症に対する CDC や WHO の活動はもちろんだが、感染経路を突き止めるための行動やワクチン精製、さらには感染が拡がっていく過程が淡々と描かれていて、とてもシリアスなものになっている。
科学的な考証もきちんとしているのだろう。
それだけにとても真実味のある物語になっている。
時間の経過とともに広がっていく不安。それが引き金となって犯罪まがいの行為にいたる人たち。そんな社会的な問題も描かれているが、それをパニックとしては扱ってはいない。
その淡々としたストーリー展開の中で浮いている存在がひとりだけいる。Web を通じて、詐欺的な情報を流して金儲けを企む人物。
感染症の伝染をストーリーの核として、もしかしてほんとうに描きたかったのは、不安をベースとして伝わっていく、意図的に操作された情報の伝染なのかもしれない。淡々とした物語の進行の中で、この浮いた存在がそんなことを考えさせる。
伝染の恐ろしさは、なにも病気だけではないということなのだろうか。
じつは映画は感染がはじまった二日目からはじまる。その一日目はエンディングとして流れる。
ほんのちょっとしたきっかけではじまった感染症をそのときに知ることになる。
これはこれでまた考えさせられる終わり方だった。
あらゆるきっかけはほんの些細なものなのかもしれない。