食中りと腸の絶不調について


 人生ではじめて食中りになったのは今年 の 4 月 13 日のこと。
 別段、胃腸が強いわけではないがそれなりの長い人生で食中りで苦しんだことはなかった。このときは原因がはっきりしている。痛みかけたパイナップルが原因だ。パイナップルは痛みはじめると足は速いらしい。

 そんなことがあって気をつけていたんだが、5 月 20 日にまたしても中ってしまった。以来、パイナップルの代わりにキウイを食べるようにしている。これですべて解決したはずだった。ところがまたしても中ってしまったのだ。

 先週の土曜日のこと。仕事先に向かう電車の中でお腹の張りを感じて仕事先に着くなりすぐにトイレへ。しかし出る気配はない。けれど明らかにいつもとは状態が違う。いったんは仕事の準備をしたがやはり様子がおかしいので断って休憩室へいかせてもらい、そこの救護用のソファに横になった。途端にそれがはじまった。
 嘔吐と下痢だ。

 食中りだとその原因になっているものが出ればだいたいは治まる。けれどこの日は治まる気配がない。
 何度かの嘔吐で胃は空っぽ。なのに下腹部は凭れたまま。一向に下ってくれる気配がない。でもトイレにいかざるを得ない。
 そんな状態が夕方まで続いた。

 とりあえずトイレに駆け込む心配がなくなったところでいったん帰宅。しかしこの日はなにもできずにそのまま寝てしまった。これで眼が醒めたらすべては治っていたらよかったのだが、そうは問屋が卸さない。

 翌日になっても快復はほど遠い。ほとんど動くことができずに寝たままといってもいい状態。さらに翌々日。仕事なのでともかく出かけた。歩くことはできるけれど動くと下腹部に激痛が走る。なんとか仕事を終えて帰宅したがやはりそのまま倒れるように布団へ。
 さらに翌日。昨日のことだ。少しずつ痛みは小さくなっている。それは確かだが、ときおり走る激痛に顔が歪む。

 今回のこの痛みがただの食中りでないことに気がついたのは翌日の朝方だろうか。一向にできる気配がなくて、これはもしかして腸がちゃんと機能していないのではないかと思い至ったのだ。
 それはさらに翌日、再び仕事先に向かったときに確信に至った。
 内臓が、いやシンプルに腸が働いていない。まるでストライキを起こしたようにまったく機能していない。ということであればこれはすぐにも治るものではなく、じっくりと向き合って治すしかないのかもしれない。

 ということでまずは腸をいたわりつつリハビリすることに。
 その翌日、日曜日のことだけどまったく食欲がなくて、それでもなにか食べなければと思い、冷凍の蕎麦を買ってきた。これなら軽く食べられるだろうと思ったからだ。ところがどっこい。簡単に食べられない。身体が受け付ける気がないからだろうか、蕎麦を啜ることができないのだ。蕎麦を啜ることなく食べることがこんなに困難なことだと思い知らされたのは、ぼくの長い人生ではじめてのこと。この一杯はとても遠い一杯だった。

 ともかくこのとことがあってまずスタミナがなくなってしまった。食べるものを食べていないのだからあたり前の話だ。快復するためにもなにかを食べなければいけない。ところが食欲がない。
 日曜日は蕎麦を一杯。夜、小振りのおにぎりをひとつ。月曜日は仕事先できつねうどんを一杯。そして昨日、火曜日はパスタとミニフォッカチオを。少しずつ食べるものを増やしていっている。
 糖質制限だ、グルテンフリーだなどという野暮なことはいいっこなし。なによりも食欲がゼロに近いので食べられるもの、ちょっとでも口にしようかと思い立ったものを食べていくことにした。
 お陰で昨日の帰途、小腹が空いたのでいままでなら絶対に手に取ることなかったであろうコンビニのサンドウィッチを買って、帰るなりムシャムシャと食べてしまった。もっとも食べ終わるとすぐに布団へ直行したけどね。
 お陰で今朝は久しぶりに固形物を排泄することができた。
 匍匐前進に近いかもしれないけれどそれでも前に進んでいる証左ではあるだろう。やれやれ。

 今日になってずいぶん腹痛は引いた。それでもお腹がゴロゴロ鳴ると痛むんだけどね。これがなくなればきっと快復といってもいいだろう。それでもいままでみたいに好き放題には食べられないだろう。
 でも今日は鯖の西京焼きと冷や奴に茄子の煮浸しが食べられた。あの日に比べればずいぶん普通になったものだ。とりあえずしばらくはいままでの原則をいったん忘れて、食べたいものが食べられるところまで復活できるようにリハビリを続けるつもりだ。

 ひとつ付け加えておくと、驚いたことに、あの日以来まだ一滴もアルコールを呑んでいない。さて、いつ呑みたくなるんだろう。アルコールと無縁の人生なんて、独りもののぼくには考えられないことなんだけどな。

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