哲学者だけが知っている人生の難問の解き方


 今年の 17 冊目。平原 卓 著「哲学者だけが知っている人生の難問の解き方」読了。
 哲学なんて、と思う人もいるかもしれないが、実はぼくはこういう「考える」という学問が意外に好きだったりする。
 なぜなんだろうと振り返ってみると、ちょうど高校の頃だろうか、自分はいったいどんな人間なんだろうということについて、真剣に考えていたからだと思う。たぶんこれがスタート地点だ。
 それでどうしたのかというと、ぼくは大学で心理学を学ぶことにした。それがぼくに明確な回答を与えてくれたのかということになると、残念だがことはそんなに簡単ではなかったんだが、その話はまた別の機会にでも。

 さて、この本の著者、平原 卓氏は早稲田で哲学を学んだ方である。前著「読まずに死ねない哲学名著50冊」ではプラトンにはじまり、ジャック・デリダまでの著書、五十冊をざっとまとめて、ギリシア哲学からはじまり、現代哲学までの流れを俯瞰できるように解説している。
 これはこれで大変勉強になったのだが、今回のこの著書では、哲学書の解説ではなく、哲学としてのテーマ、考え方をまとめてくれている。

 ギリシア哲学の祖といっていいだろうソクラテスにはじまり、キリスト教がそのすべてを規定していたスコラ哲学、そして市民の誕生とともに価値観が揺らぎはじめた中世後から、近代、現代に至るまでの哲学としてのテーマと各哲学者の考え方をまとめてくれている。
 スタート地点はともかく、ぼく自身が悩み、考えはじめた考え方の流れと付合するところもあり、というか、高校の頃にはデカルトやらカントやら、その意味をなんの吟味もせずただ読んでいただけなんだが、そんな影響を若干は受けているのだろう。キルケゴールの絶望などはまさに大学から社会人へと進んでいた頃のぼく自身の考えと一致するところもあったりして、なんだか青臭い思い出が甦ってきてしまった。

「今」の哲学がどんなことをテーマとしているのかは、また別の話になるんだろう。なにせこの分野は科学とも重なるところもあり、そうなるともうなんの学問だがわからなくなるところもありそうだ。「クオリア」などということを考えはじめると、それはもう思考停止にならざるを得ないかもしれないしね。
 まぁ、そんなことはともかく人類はいままでどんなことを考えてきたんだろうということを俯瞰するにはまさにぴったりの一冊かもしれない。
 たまにはなにかを「考える」学問に触れるのもいいと思うし、ぼくはこれからも機会があれば自分の頭を捻って生きたいなどと考えている。

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